「打倒、面接官!」場面指導は、場を制せよ。

場面指導についてまとめた、場面指導の虎の巻です。

面接官の方に見つかったら怒られそうなタイトルですが、もちろん面接官は敵ではありません。

養護教諭として現場で働いていると、難しい場面に直面したとしても、子どもや保護者の方に適切に対応しなければならないときがあります。

場面指導では、受験者は養護教諭になりきり、面接官をどうにかして納得させなければなりません。

このページでは、以前よりリクエストをいただいていた場面指導についてまとめました。

筆記試験とは異なり、場面指導をはじめとした面接試験には明確な採点基準がないので、対策をするのはなかなか難しいと思います。

そのため、場面指導が苦手だと感じてしまう人も多いかもしれません。

私もコツをつかむまで苦労しましたが、その経験をいかして、場面指導についての効果的な対策について今一度よく考えました。

本番はとても緊張するので、このページに書いてあるすべてのことを完璧に実行する必要はなく、何か一つで参考になれば幸いです。

また、対応に正解はないので、このページに書いてあることを参考にしながらも、自分のスタイルを保ちながら場面指導に臨んでください。

場面指導では、場面指導の趣旨を理解し、バランスをとりながら、しっかりとアピールをしましょう。

それでは始めましょう。「コント、場面指導」!

Youtubeでは、きりりんが動画で解説しています。

併せてご覧ください。

今後は、実際の場面指導の例として、受験者や面接官の受け答えについての動画を公開する予定です。

場面指導とは

面接官は、子どもや保護者の視点で、受験者が養護教諭としての資質があるかどうかを判断しています。

具体的には、学校現場で実際に起こることを想定して、受験者が養護教諭としてどのように対応するかをみています。

場面指導は、養護教諭役の受験者と相手役の面接官との対話であり、受験者の性格や仕事のスタイル、考え方、面接官のタイプによって、会話は様々に変化します。

そのため、場面指導の内容は、人によってまったく異なるものとなります。

筆記試験とは異なり、場面指導をはじめ、面接試験では明確な採点基準はないものの、ポイントを押さえて部分点を稼ぎ、全体の印象を良くしていくことが大切です。

きりりんの
ひとこと

実際の現場でも、相手がどのような状況であるかによってアプローチの仕方は変わるし、養護教諭によってもアプローチの仕方は変わるきりんね♪

場面指導で試されているのは、対応力

場面指導では、実際の現場を想定したあらゆる場面で、適切に、柔軟に対応する力が試されています。

対応力は、場面指導のときだけではなく、実際の現場で養護教諭として働くときに必要な力でです。

場面指導で必要とされる対応力を読み解くと、コミュニケーション力、問題解決力、専門的な知識の三つに分けられます。

きりりんの
ひとこと

面接試験で試されることは、そのまま養護教諭に必要なこときりんね♪

当たり前といえば当たり前だけど、試験には全部意味があるきりんね♪

コミュニケーション力

子どもや保護者に寄り添い、適切にコミュニケーションをとることができているかが試されています。

場面指導におけるコミュニケーションで重要なことは、受容や共感といった傾聴する態度です。

子どもや保護者と関わるときは、どのような言動も受け止め、その思いに心から共感し、理解し、真摯に向き合うことが大切です。

人と関わるとき、まずは円滑なコミュニケーションをとり、信頼関係を築くことからはじまります。

問題解決力

問題解決力が試されています。

問題解決力とは、問題の解決に向けて、様々な視点であらゆる可能性を考え、相手からできる限り多くの情報を引き出し、本質を見抜き、説得力があり、建設的な方法を考えることができるかということです。

問題解決の流れは、観察→発見→認識・認知→分析→判断→計画→提案→実行→再発防止です。

問題を解決をするために、論理的にアプローチをする必要があります。

専門的な知識と技能

「なんとなく~のような気がする」という感覚ももちろん大切ですが、原因を究明し、対応に具体性を持たせるためには、専門的な知識が必要です。

会話における相手役の面接官の発言にはヒントを含まれていますが、そのヒントを見逃さず、確実に拾っていくことが大切です。

ヒント、つまり根拠となる事柄は、専門的な知識をもってして気づくことができます。

たとえば、「背中に傷がある」という設定のとき、「服で隠れる部分である」「自分の手が届かない部分である」「普段の生活で傷つきにくい部分である」ことから、いじめや虐待の可能性が考えられます。

また、問題に適切に対応するためには、専門的な技能が必要です。

実際の現場でも、早期発見・早期対応、そしてトラブルの防止のために、専門的な知識と技能が求められます。

よく出題されるテーマ

出題されやすいテーマは、実際の現場でも対応に迷ったり困ったりすること、自治体のタイムリーな話題、全国規模の教育に関する時事ネタです。

主な出題テーマは、次の通りです。

  • いじめや虐待、飲酒、喫煙、薬物乱用など、重大な健康課題
  • メンタルヘルス、不登校、発達障害、性の問題行動など、複雑・多様な健康課題
  • 欠食、睡眠不足、長時間のゲームやスマホの使用、過度なダイエットなど、生活習慣に関する健康課題
  • 熱中症対応やアレルギー対応など、緊急搬送を含む救急処置
  • クレーム対応
  • 電話対応

テーマがわかりやすい場合は、問題解決力の分析→判断→計画→提案の部分が試されています(例:「虐待についての場面指導を行ってください」など、具体的な指示を受ける場合)。

反対に、テーマがわかりにくい場合は、問題解決力の観察→発見→認識・認知の部分が試されています(例:テーマは救急処置かと思えたが、会話の流れから、虐待が疑われる場合)。

場面指導が始まったら、早い段階でテーマを読み取ることが大切です。

きりりんの
ひとこと

言い換えると、場面指導の対策をすれば、実際の現場でも困ることが少なくなるきりん♪

一石二鳥きりんね♪

相手役について

きりりんの
ひとこと

相手役を演じる面接官は、とっても演技派きりん♪

面接官は、相手役を演じる?演じない?

面接官が相手役を演じる場合と、面接官が相手役を演じず、受験者が一人芝居を行う場合があります。

面接官が相手役を演じる場合は、どちらかというとコミュニケーション力が重視されているため、とにかく養護教諭になりきることが大切です。

面接官が相手役を演じず、受験者が一人芝居を行う場合は、どちらかというと問題解決力が重視されているため、ストーリーを展開させることを意識することが大切です。

自治体の過去の出題形式を参考に、相手役がいる場合またはいない場合を想定して、練習を行うようにしましょう。

ただし、昨今のコロナウイルス感染症で、教員採用試験の内容は大幅に変更されることも予想されるため、あらゆる出題形式に対応できるようにしておきましょう。

面接官が演じる役柄は?

面接官が演じる役柄は、子ども、保護者、教職員、地域の方などがあげられます。

出題内容は年度によって異なるうえに、受験者によって異なることも十分に考えられるため、

得意不得意はあるかと思いますが、実際の現場では、そんなことは言ってられず、どのような相手に対しても、柔軟に、適切に対応しなければなりません。

どのような役柄にも対応できるようにしましょう。

面接官が演じる設定は?

面接官が演じる役柄の設定は、次の通りです。

  • あらかじめ設定の詳細が決められているパターン
  • ざっくりとした設定はあるものの、詳細は決められていないパターン
  • 一つの内容でごね続けるパターン
  • 支離滅裂な発言を繰り返すパターン
  • 途中で特定のキーワードを入れるパターン

学年や性別、性格、きょうだい構成、家庭での様子、友人関係、担任の先生との関わり方など、あらかじめ設定の詳細が決められているパターンでは、ヒントを得るために、面接官の発言を拾う必要があります。

学年や性別など、ざっくりとした設定はあるものの、詳細は決められていないパターンでは、詳細については会話の流れから成り行きで設定されていきます。

そのため、養護教諭役の受験者が相手役の面接官に対して、「きょうだいはいる?」「おうちの人は何時に帰ってくるの?」と質問を投げかけたり、「○○さんと仲良かったよね」、「担任の○○先生とのことで、この前も相談に来てくれたよね」と(勝手に)設定を決めたりする必要があります。

テーマと同様、場面指導が始まったら、早い段階で相手役の設定を読み取ることが大切です。

場面指導のコツ

場面指導で対応力をアピールするコツは、会話を意識して、養護教諭になりきること、ストーリーを展開させること、会話の中で専門的な知識と技能をちりばめることの3つです。

これらのコツは、実際に養護教諭として働くときにも、役立ちます。

きりりんの
ひとこと

コツをざっくりまとめると、面接官の視点で考えることと、相手役の立場になって考えることが大切きりん♪

養護教諭になりきる

コミュニケーション力をアピールするために、面接官を本気で子どもや保護者だと思い、恥ずかしさを捨てて、女優になったつもりで取り組みましょう。

面接官が子どもや保護者になりきるのであれば、こちらも養護教諭になりきってやるのです。

養護教諭としてのコミュニケーションを意識し、面接官を照れさせるくらいの演技ができたら、我々の勝利です!

決して面接官のペースに飲まれてはいけませんよ。

養護教諭になりきるためのポイントは、次の通りです。

ポイント① 笑顔と、話の内容に合った表情を心がける

相手役を安心させるために、笑顔を心がけましょう。

しかし、基本的には笑顔が大切ですが、たとえばいじめや虐待といった重大な健康課題に対応するとき、ニコニコと張り付いた笑顔でいると、相手に不信感を与えてしまいます。

話の内容に合った表情を心がけましょう。

ポイント② 目を見てあいづちを打つ

親身になって聞いているということを伝え、誠実さや頼りがいをアピールすることができます。

目を見ることについては、実際の現場で子どもと話すとき、子どもの視点に合わせて話します。

また、誰かに相談したとき、相手が相づちを打ってくれていると、「話を聞いてくれているんだ」「わかってくれているんだ」と感じますよね。

ただし、じっと見つめすぎたり、相づちを打ちすぎると不自然なので、あくまでも自然な感じを意識しましょう。

ポイント③ ジェスチャーを使う

身振り手振りを使いながら話すことで、臨場感を高まり、面接官が場面を想像しやすくなります。

また、面接官の注目を引き付け、内容が記憶に残りやすくなります。

ただし、やりすぎると落ち着きがないように見えるので、適度に行いましょう。

ポイント④ わかりやすい表現を使う

教員採用試験勉強をしたり、実際に講師として働いていたりすると、教育界隈だけに通じる難しい言葉を使ってしまうこともあるかと思います。

しかし、面接官はいま、教師ではなく、子どもや保護者なのです。

養護教諭が使うような専門的な用語は伝わりづらいため、だれでも簡単に理解できるような、わかりやすい表現を使いましょう。

ポイント⑤ 一貫した態度をとる

場面指導の最初から最後まで、一貫した態度をとりましょう。

実際の現場でも、「さっき言ってたことと違う」と矛盾を生じさせてしまえば、子どもや保護者を混乱させ、不信感を与えてしまいます。

方向性を見失わないために、根本となる軸はぶれないようにしましょう。

戦略的会話を意識する

問題解決力をアピールするためには、テーマや相手役の設定を素早く読み取り、戦略的に会話をすることが大切です。

ポイント① ストーリー性を持たせる

普段の会話でもそうですが、言いたいことをいきなり言ってしまうのではなく、自然な会話の流れの中で、ストーリー性を持たせて伝えることが大切です。

これは、専門的な用語ではストーリーテーリングと言って、伝えたいことが子どもの心に響くように、伝え方を工夫することです。

子どもへの対応を例に、伝えたいことと、伝えるときのNG例とOK例を紹介します。

伝えたいことNG例OK例
朝ごはんの大切さ朝ごはんは大切です。毎日食べましょう。みなさん今日は朝ごはんは食べてきましたか? 朝ごはんを食べた日と食べてない日、どちらの日が元気ですか? 朝ごはんは一日の元気のもとになるので、とても大切です。一日を元気に過ごすために、毎日食べましょう。
早寝早起きの大切さ早寝早起きは大切です。夜9時に寝て、朝7時に起きましょう。夜、遅くまで起きていると、どうなると思いますか? 次の日の朝、寝坊をしまったり、起きられても、一日中ぼーっとしてしまったりします。そうならないためには、早寝早起きをすることが大切です。早寝早起きをするためには、まずは早起きをすることです。そうすると、夜、自然に眠たくなって、早く眠ることができます。朝は7時に起きて、夜は9時に眠ることを目標にしましょう。
感染症予防の方法感染症を予防するために、手洗いをしましょう。コロナウイルス感染症が流行っていますね。コロナウイルス感染症にかかると、体がしんどくなって、学校に来られなくなります。大変なときは、命の危険にさらされることもあります。そうならないためには、感染症を予防することが大切です。では、どのようにすれば、感染を予防することができると思いますか? 感染症予防に効果的なことの一つは、手洗いです。ごはんを食べる前や、家に帰ってすぐ、学校にきてすぐ、運動場で遊んだあとは、手洗いをするようにしましょう。

上記は一例なので、ストーリーとしてもっともっと膨らませて展開していくとよいでしょう。

授業などをするときも、子どもの興味を引くため、導入はとても大切ですよね。

また、保護者に対しても同様で、用件だけを伝えるのではなく、自然な会話のやりとりを通じて伝えるようにしましょう。

ポイント② 方向性を決める

場面指導開始後にまず最初にやるべきことは、対応の方向性を決めることです。

実際の現場でも、やみくもに対応するのではなく、最終的にどのように持っていきたいかの目標を立て、その目標を目指して対応を進めます。

場面指導では、テーマや設定がわかったら、問題解決のために必要な対応を見立て、大まかな方向性を決めることが大切です。

ポイント③ 様々な角度からアプローチする

相手役の面接官が、一つの内容でごね続けたり、支離滅裂な発言を繰り返したりするパターンで特に重要なのが、様々な角度からアプローチするということです。

実際の現場では、「嫌だ」と言って拒否され続けることもあれば、話をまったく聞いてくれないこともあります。

そんなとき、養護教諭として、あきらめずにどれだけ粘り強く対応できるか、すなわち、忍耐力や継続力、メンタルの強さが試されています。

これらをアピールするチャンスととらえれば、堂々巡りや詰まったりするのはとてももったいないので、言葉を言い換えて切り返したり、場面を切り替えたりして、思いつく限りの方法でアプローチしましょう。

会話の中で、専門的な知識と技能をちりばめる

専門的な知識と技能をアピールするためには、そのまま、会話の中で積極的に専門的な知識や技能を伝えたり使ったりしていくことが大切です。

たとえば、「(手の指から血が出ている場合)血が出ているところをきれいなガーゼで強く押さえるから、心臓よりも高いところまで手をあげようね(直接圧迫法)」「(過換気症候群(過呼吸)が疑われる場合)先生と一緒に、ゆっくり息をしようね。スーッハーッ…」「成長ホルモンは、夜の10時から深夜2時までの間がたくさん出るから、早く眠ろうね」といった具合です。

他にも、相手役の面接官の発言を要約したり、「そうだったんだね」「放課後に嫌なことを言われたんだね」「悲しかったね」と事実や気持ちを繰り返したり、「保健室に来てくれてありがとう」と伝えたりして、安心感を与えるように努めましょう。

専門的な知識と技能については、参考書や資料集を見て勉強しましょう。

筆記試験対策をするとき、「もしここが場面指導のテーマとして出題されたらどうしよう?」と考えながら問題を解くこともおすすめです。

場面指導の注意点

場面指導は、面接官と受験者の会話で成り立つため、何も考えないで進めると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。

しかし、場面指導はあくまでも試験であり、より有意義なものするためには、限られた時間の中で、効率よくたくさんのことをアピールする必要があります。

場面指導で気を付けたい点は、次の通りです。

きりりんの
ひとこと

これらは、受験者がよくやる失敗きりん♪

気を付けてほしいきりん♪

時間配分に気を付ける

場面指導で起こりやすい失敗の一つは、時間配分を間違えることです。

私が受験した自治体のうち一つは、場面指導は面接官は相手役を演じなかったため、一人芝居をしなければなりませんでした。

私は時間配分を見誤り、導入部分に時間を使ってしまったため、場面指導を最後までやりきることができませんでした。

特に一人芝居の場面指導の場合は、自分のペースでストーリーを進められる反面、時間配分には十分気を付けなければなりません。

私のような失敗をしないために、起承転結とメリハリを意識して、テンポよくストーリーを進めましょう。

一方的に話さない

受験者ばかりが一方的に話過ぎるのも、よくある失敗の一つです。

他の面接試験でも言えますが、場面指導は対話によって成り立つため、特に相手役がいる場合は、情報を引き出すという意味でも、会話のキャッチボールを意識して、自分ばかり話さないようにしましょう。

一方的に話を聞くのはつまらないですし、実際の場面でも、コミュニケーションをとるとき、どちらかというと、話すことよりも聞くことのほうが大切だったりします。

どうしても話過ぎてしまうという人は、相手役の面接官が話す割合と養護教諭役の受験者が話す割合が1:1になるくらいか、相手役の面接官が話す割合が多くなるくらいのイメージで臨むと、ちょうどよいかもしれません。

特に、一対一のやり取りの場合は、相手が今どう思っているのかの確認という意味でも、質問を基本とし、語尾が「~?」と疑問形になるように心がけることもポイントです。

ほどよいところで切り上げる

一貫した態度も、粘り強く対応することも大切ですが、何が何でも折れてはいけないというわけではなく、時にはある程度のところで切り上げることも必要です。

これは、実際の現場でも同様で、難しい問題であればあるほど、その場限りの短期的な対応で解決することは難しく、長期的な対応が必要です。

問題の根本的な解決には、基本的には長い時間がかかります。

子どもや保護者との信頼関係も、短時間で築くことはできませんよね。

そのことは面接官ももちろんわかっているはずなので、必ずしも場面指導中に問題を解決できなかったから失敗というわけではなく、解決に向けて必要なステップです。

確かに、何度も質問を重ねることは、本質をつかむために必要なやりとりですが、同じことを繰り返して、尋問のようになってはいけません。

子どもや保護者は、養護教諭に何か対応してほしいという気持ちを持ちながらも、どうしてほしいのか自分でもわからなかったり、決心がついておらずタイミングが今ではなかったり、養護教諭の反応を見て相談してよいかを探っていたり、話を聞いてほしいだけだったりします。

どうにかしてあげたいという気持ちは素晴らしいですが、相手の立場になって考えて、ここはぐっと堪えましょう。

自分が相手の立場になったとき、どのように対応してほしいかを考えることで、答えは見えてくると思います。

もしかすると、面接官が演じる相手役は、「養護教諭役の受験者がどのような対応をしても、頑なに態度を変えないこと」「できる限りの対応をしたうえで、担任の先生や管理職に報告したところで終了とする」という設定があるかもしれませんよ。

場面指導終了後の追質問への回答

場面指導終了後は、ほとんどの場合、場面指導に対して受験者がどのように感じたかについて追質問がされます。

面接官が受験者に興味を持っているということなので、最後までアピールをしましょう。

反省点と対応の意図を伝える

面接官から「相手役に対して、どう思いましたか?」「~には、どういう意図がありましたか?」「なぜ~と言いましたか?」など、場面指導中の対応について聞かれる場合があります。

面接試験は最初から最後までアピールの場なので、どのように考えてその対応を行ったのか、行動の根拠や意味を答えられるようにしましょう。

また、もし場面指導で表現しきれなかったことがあれば、同時に伝えましょう。

場面指導終了後の対応について伝える

面接官から、演じた場面よりあとの対応について聞かれることがありますが、これはラッキーなことです。

その後の対応について聞くことは、問題解決力のうち、実行→再発防止の部分が試されているということであり、その場限りの対応ではなく、継続的な支援の見立てができているかどうかをみられています。

方向性を決めるときに、短期的な対応はもちろん、長期的な対応についても考えておきましょう。

おすすめの練習方法

場面指導を練習するときは、一つのテーマについて、とにかくたくさんの対応を考えるなど、話の引き出しを多く持つことが大切です。

練習方法としては、よかったところと改善点についてフィードバックを行いながら、何度も何度も繰り返し練習することが大切です。

また、必ず時間を計り、タイムキープを行うようにしましょう。

おすすめの練習方法は、次の通りです。

  • 練習風景を録画して、再生する。
  • 鏡を見ながら練習する。
  • 友達と練習する。
  • 面接官役を経験する。

特に面接官役を経験することが、とても重要です。

面接官役をすると、面接官が受験者のどんなところを見ているかがよくわかります。

「自分が面接官だったら、どんな人と一緒に働きたいだろう?」と考えながら練習するようにしましょう。

出題例と解答例

ほけんしつ.netのオリジナルの問題と、解答例(解答のポイント)です。

解答例は、初期状態では非表示になっているため、左側のプラスボタン「+」を押して、表示させてください。

解答は一例であり、必ずしも正解であるとは限りませんし、他にも解答はあるかと思います。

養護教諭を目指す方向けに作った問題ですが、小学校教諭や他の校種を目指す方にも応用できるかと思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。

また、自分で問題を作れば、無限に対策することができ、対応力をどんどん鍛えることができます。

  • 中学2年生女子生徒。過度なダイエットによる摂食障害が疑われる。どのように対応するか。
解答例
友人関係や部活動、勉強、家庭での様子などについて聞き、最近ストレスに感じること、嫌だと感じることがなかったかどうかを確認する。担任の先生が給食をほとんど食べていないことを心配していると伝える。4月の健康診断では低体重であったこと、左手に吐きダコがあることを指摘する。気持ちはわかるが、過度なダイエットは、健康を害する恐れがあることを説明する。運動など、健康的なダイエット法を提案する。
  • あなたは小学校で働いている。授業中、子どもが「お腹が痛い」と言って来室した。どのように対応するか。
解答例
いつから、どこが、どのように、どれくらい痛むのか確認する。また、昨晩食べたものや、朝食べたものについて確認する。子どもに確認をとったうえで触診を行い、痛みの部位や程度、痛み方について確認する。また、外傷がないかについても確認する。保健調査票を確認し、既往歴を調べる。器質性または機能性の疾患が否定的で、心因性が疑われる場合は、友人関係や部活動、勉強、家庭での様子などについて聞き、最近ストレスに感じること、嫌だと感じることがなかったかどうかを確認する。
  • 昨日、「眠たいから寝かせて」と言って来室した生徒に対し、結果的に休養させなかった。そのことについて、保護者から抗議の電話がかかってきた。どのように対応するか。
解答例
児童と保護者に不快な思いをさせてしまったことを深く詫びる。児童が保護者にどのように説明したかを尋ね、思いに共感する。そのうえで、他の児童が休養してベッドが空いていなかったこと、試験前であったため、養護教諭一人の判断ではなく、担任の先生と話し合って決めたことであるなど、当時の状況を伝える。また、寝不足による休養は、原則不可能であるなど、保健室の方針を伝える。寝不足の原因について尋ねる。保護者の意向を尋ね、その件について管理職に相談する旨を伝える。どのような事情があっても、子どもと保護者を不快にさせたことは事実であるため、再度深く詫び、今後同じ理由で保健室に来室したとき、保護者に連絡をするなどの対策を提案する。
  • あなたは今年の4月に赴任した。健康診断の準備後、同僚の担任の先生に、「去年の先生とやり方が違う。変えてほしい」と言われた。どのように対応するか。
解答例
意見をいただいたことに対し、お礼を言う。何がどのように違うか、やり方を変更したことでどのように困るのか、具体的に聞く。今年の健康診断については、学校医と管理職、前任の養護教諭に確認の上、準備を行ったことを伝える。前任の養護教諭から改善点を提案されたためやり方を変更したことを伝えるも、実際に健康診断を行ったことはないので、同僚の意見に理解を示す。去年のやり方と、今年のやり方の間をとったやり方を提案する。再度検討し、学校医と管理職に確認することを伝える。再度、参考になる意見をいただいたことに対して感謝を述べる。
  • 学3年生を担任する保健主事から、「最近、スマホやゲームを長時間する子どもが増えている。総合的な学習の時間に、多目的室で、保健学習を行ってほしい」という依頼があった。どのように対応するか。
  • 男性の学校医による内科検診を頑なに拒否する女子生徒がいる。どのように対応するか。
  • 保健室で休養する男子児童の制服のポケットから、たばこの箱が見えていた。どのように対応するか。
  • 6月、講堂での部活動中に「しんどい」と言って生徒が来室した。どのように対応するか。
  • 昼休み、1年生の児童が来室した。その児童は、前回の発育測定の結果では低体重であり、他の児童に比べてかなりの量の給食を食べ、上靴のサイズが合っていない。どのように対応するか。
  • 1週間ほど前から、体育の時間に必ず「体操服を忘れたから貸してほしい」と言って来室する児童がいる。どのように対応するか。
  • 子どもが、クラスのLINEグループで仲間外れにされたといって、保健室に来室した。どう対応するか。
  • あなたは、女子生徒との会話の中で、女子生徒はSNSで知り合った人と今度遊びに行く約束をしていることを知った。どう対応するか。

場面指導の過去問は、随時募集しています。

また、私の考える解答例でよければ掲載させていただきますので、リクエストについてもお待ちしております。