受験者必見!教員採用試験に合格するには、「質問上手」になろう
もくじ
教員採用試験を受験された方、本当にお疲れさまでした!
筆記試験対策、そして面接試験対策、本当に大変な毎日でしたね。
私自身、学生の頃、何度も壁にぶつかり、苦しい日々を過ごしたことを思い出します。
教員採用試験の前後、受験者の方と、DMやコメント等を通じて時々交流をさせていただいておりました。
そして教員採用試験の結果発表後、嬉しいことに、「教員採用試験に合格しました!」というご報告を何人かの方からいただきました。
人生における大切なご報告を私にまでいただき、誠にありがとうございます。
本当に嬉しかったです。
また、今回思うような結果ではなかった方からもご報告をいただき、私にはない心の強さを感じ、非常に感動しました。
この記事の作成したのは、やりとりを通じて、何人かの方に対して「この人は早いうちに合格するのではないかな?」と感じたことがきっかけです。
そして、驚いたことに、そのうちの数名の方は、見事合格されたようでした。
このことから、自分がなぜそう感じたのか、備忘録も兼ねて、理由について言語化してみようと考えました。
主観に基づいた記事であり、恐れ多くはありますが、来年度以降教員採用試験を受験される方の参考になればと思い、今年度合格された方の共通点を考察してみました。
合格者の共通点は、「質問力」の高さ
合格のご報告をいただいた方に、いくつか共通する点がありましたが、その中でも、「質問力が高いこと」、つまり「質問が上手であること」は全員に共通していました。
質問とは、「わからないところや疑わしい点について問いただすこと(goo国語辞書)」で、質問の意味自体は皆さまご存じかと思います。
しかしながら、わからないことができたときに、ただがむしゃらに質問すればいいというわけではありません。
では、教員採用試験に合格した「質問が上手な人」とは、一体どのような人なのか、一緒に考えていきましょう。
質問が上手な人の特徴を細かく見てみると、次の5つのポイントがあります。
- 「わからないこと」が明確である
- 誰にどんなことを質問すればよいかを判断できる
- 自分の思いや考えを相手に伝えることができる
- 相手の思いや考えを理解することができる
- 質問をする姿勢や態度が好意的である
「質問が上手」と一言で表してみても、じっくり紐解いていくと、養護教諭に、教員に求められることといえるではないでしょうか?
「質問力」というと、頭が切れる人がするような鋭い質問をする力を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、質問力の意味は、それだけではありません。
質問力が高い人は、なぜ合格したのか?
では、質問力が高いと、なぜ合格する確率が高いのでしょうか?
それは、上記の特徴は、養護教諭に、教員に求められていることだからです。
もっといえば、社会人として、大人として、人として求められていることといえます。
上記1~5の特徴を養護教諭としての仕事に当てはめると、次の通りです。
- 「わからないこと」が明確である=自分の「できること」と「できないこと」を認知し、対策することができる
- 誰にどんなことを質問すればよいかを判断できる=問題解決に向けて、的確な行動ができる
- 自分の思いや考えを相手に伝えることができる=情報を正確に発信することができる
- 相手の思いや考えを理解することができる=人や物事を観察し、理解することができる
- 質問をする姿勢や態度が好意的である=ポジティブな印象を与えることができる
少数職種であり、サポート役に回ることの多い養護教諭にとって、これらの力はとても大切です。
また、上記の2~5の特徴を一言で表すと、「相手の立場になって考えることができる」です。
学校でも、子どもたちに「人の気持ちを考えて行動しましょう」という言葉はよく使われるように、「相手の立場に立って考えること」は、人とコミュニケーションをとるときの基本です。
コミュニケーション力は、人物重視の教員採用試験において、最も重視される力の一つですよね。
これらをまとめると、質問力が高いということは、コミュニケーション力が高いということであり、養護教諭に求められていることであるため、合格した方が多かったのだと考えられます。
質問力が高い人の特徴
質問力が高い人の特徴を振り返ってみましょう。
- 「わからないこと」が明確である
- 誰にどんなことを質問すればよいかを判断できる
- 自分の思いや考えを相手に伝えることができる
- 相手の思いや考えを理解することができる
- 質問をする姿勢や態度が好意的である
それでは、どうして質問が上手な人が教員採用試験に合格したのか、上記の特徴について、一つひとつ解説していきます。
特徴1 「わからないこと」が明確である
質問力が高い人は、自分のわからないことをよく分析していました。
「わからないことがわかること」を、心理学的な用語では、「メタ認知」ともいいます。
哲学の父ソクラテスの考え方、「無知の知」ですね。
大学等の授業で学んだ方も多いのではないでしょうか?
メタ認知とは、「自分を客観的にとらえ、自分が認知していることを認知するということ」です。
わかりやすくいえば、「自分はこう思って/考えているんだな」、「自分はこう感じているんだな」、「自分はこれがわかっていて、これがわかっていないんだな」と、自分の思考や感情、理解度について、敏感に察知するということです。
いわば「もう一人の自分」が、自分のことを上から見下ろしているような感覚です。
上手な質問は、まずは自分のわからないことを明確にすることからはじまります。

わからないことの他に、「わからないことが生じた経緯」や、「なぜそれを知りたいのか」、「何が原因でわからないのか」、「質問するまでに試したこと」などについてもきちんと説明できる方は、「わからないこと」をより深く理解しているのだろうなという印象を受けました。
特徴2 誰にどんなことを質問すればよいかを判断できる
質問力が高い人からの質問に対して、悩むことはあったものの、答えられない質問はありませんでした。
これは、こちらの経歴などを踏まえ、答えられる質問かどうかを判断したうえで、質問してくれていたからだと思います。
たとえ話になりますが、野球選手が「どうすればサッカーがうまくなりますか?」と質問されても、「野球の話ならアドバイスできるんだけど…」と、少し困ってしまうかもしれません。
サッカーのコツを聞くときは、野球選手よりもサッカー選手に聞いたほうがいいですよね。
相手の情報を踏まえ、質問相手にふさわしい人かどうかを判断することは、上手な質問の第一歩です。
自分の時間を有効に使うためにも、質問をする前に、どんな人に質問すればよいかを考えます。

私の場合、ほけんしつ.netやインスタグラムを通じて情報を発信していますので、それらを踏まえた上で質問をしていただいた方は、話が進むのがとても早かったです。
特徴3 自分の思いや考えを相手に伝えることができる
質問力が高い人は、自分の思いや考えを踏まえ、とても具体的にわからないことについて伝えてくれました。
自分のわからないことがわかったら、それを相手にわかりやすく伝えなければなりません。
ざっくりとした質問ではなく、聞きたいことを絞ることで、より有意義な質疑応答になります。
当たり前のことですが、せっかく質問したいことができても、相手にわかってもらえなければ、質問を始めることができませんよね。
また、質問をするとき、「答えは~ということではないかな?」と、ある程度仮説を持つことができると、さらに有意義な質疑応答になります。

わからないことに加えて、さらに詳しく、どういうことが知りたいのかをピンポイントで教えていただいたとき、より具体的にお答えすることができました。
特徴4 相手の思いや考えを理解することができる
質問力が高い人は、こちらが伝えたことの多くを、自分のものにしていました。
相手から答えが返ってきたら、その意味を理解する必要があります。
「理解する」を、かみ砕いていうと、「自分の中で整理し、解釈する」ということです。
このとき、答えを理解するだけではなく、一度自分の中に落とし込み、自分に当てはめて考えると、より理解が深まります。

「私の意見に100%染まるのではなく、自分の考えを踏まえて取り入れてほしい」という思いから、場合によってはあえて抽象的なお答えの仕方をするときがありました。
そんなとき、「~ということですね!」と、私が伝えたいことをまとめていただき、「そうそう、そういうこと!」と思ったことは、何度かありました。
特徴5 質問をする姿勢や態度が好意的である
質問力が高い人は、「一生懸命、素直、前向き、丁寧、感謝を忘れない」といった、姿勢や態度の特徴も共通していました。
これは、こちらに対する細やかな気遣いをはじめ、(画面上ではありますが、)非言語コミュニケーションからそう感じました。
好意的な姿勢や態度は、質問をするときだけではなく、良好なコミュニケーションの大原則とも言えますよね。

余談にはなりますが、私も人間なので、聞かれたことに対して長文でお返事をしても、反応がなかったときなどは悲しくなります。
レスポンスは、「自分の理解を示す」という意味もあります。
私に限らず、養護教諭の方は質問をしたら親身になって答えてくれる方が多いと思いますので、質問をする際は頭の片隅に置いておいていただけると嬉しいです。
質問力を鍛える方法は、「たくさん質問すること」
それでは、高い質問力を身に着けるにはどうすればよいでしょうか?
それは、「意識しながら質問する癖をつける」ということです。
質問力は、短い期間で身につくものではありませんが、毎日の会話を通じて自然と鍛えることができます。
しかし、冒頭でも述べたように、ただがむしゃらに質問すればいいというわけではありません。
誰かに質問するときは、上述の1~5の特徴を意識しながら質問してみましょう。
たとえば、次のような点に気をつけて質問するようにしましょう。
質問をするときに意識するポイント
「わからないこと」を明確にする
- 自分で調べてみる。
- 質問する前に、一度じっくりと考えてみる。
- 「わからないこと」について、多角的に分析する(「何がわかっていて、何がわからないのか」、「わからないことが生じた経緯」、「なぜそれを知りたいのか」、「何が原因でわからないのか」、「質問するまでに試したこと」など)。
誰にどんなことを質問すればよいかを判断する
- 相手が答えられる質問かどうかを考える。
- 相手の情報(性別、年齢、経歴など)を知る。
- 相手との関係性を考える。
- 書籍や配布資料、SNSなど、すでに相手が発信しているい場合は、目を通しておく。
自分の思いや考えを相手に伝える
- 自分の言葉で伝える。
- わかりやすい表現で伝える。
- 答えの仮説を持つ。
相手の思いや考えを理解する
- 相手に興味を持つ。
- 頭の中で要約しながら聞く。
- 自分の経験に当てはめて考える。
- 思い込みをせず、視野を広く持つ。
- 相手との違いや差を受け入れる。
質問をする姿勢や態度を好意的にする
- 非言語コミュニケーションを意識する(表情、視線、話し方、ボディ・ランゲージ、相手との距離など)。
- 相手の都合を考える(質問をする時間、場所、タイミングなど)。
これらのポイントをまとめると、「相手の立場になって考えながら質問する」ということです。
他にも意識できるポイントはあるかと思いますので、探してみてください。
練習問題
質問力を鍛えるための練習問題をいくつか作りましたので、よければ練習してみてください(自主的な質問は少ないですが、応用できると思います)。
教員採用試験を目指している人が近くにいれば、面接官ごっこ同様、一緒に取り組んでみてください。
次のような場合、あなたなら、誰に、どのように質問しますか?
また、その後はどのように対応しますか?
- 教員採用試験の勉強をしていて、わからないことが生じました。あなたは、筆記試験対策をはじめて一か月です。
- 新採用として着任してすぐ、前任の先生が残したメモでわからないことが生じました。あなたは、前任の先生とは引継ぎの際に一度顔を合わせたことがあるだけです。
- 校長に、「最近、休みの日は家族で釣りに行っているんだ」といわれました。あなたは、釣りについてほとんど知識がありません。
- 6年生の担任の先生から、「例のあれ、どうなった?」と聞かれました。あなたは、心当たりがありません。
- 保護者の方から、「息子の保健調査票がありません。どうしてですか?」と電話がありました。あなたは、先週の月曜日に、担任の先生経由で子どもに保健調査票を渡しました。
- 何年生かわからない子どもが、保健室の前で、落ち着かない様子で行ったり来たりしています。あなたは、前任の先生から何人かの子どもについて引き継ぎ書を受け取っていますが、まだ確認できていません。
- 突然、6年生の子どもが泣きながら保健室に来室しました。あなたは、まったく状況がわかりません。
おわりに
教員採用試験に合格した方の共通点を踏まえ、「質問力が高い人の特徴」、「質問力が高い人が合格した理由」、「質問力の鍛え方」について解説しました。
文中では、「相手の立場になって考える」ということを強調して書きましたが、質問力が高いと、結果的に自分に有益な情報を手に入れることができます(質問力の本来の意味ですね)。
また、「聞き上手は話し上手」という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれませんが、聞き上手とは、質問上手な人のことでもあります。
「わからない」は、決して悪いことではありません。
先人に学ぶのはよい手段ですし、質問力は教員採用試験以外でも、仕事や恋愛など、あらゆる場面で役に立つかと思います。
人に頼られると、悪い気はしませんよね。
私が出会ってきた人の中でも、質問力が高い人は、人に好かれる傾向があるように思います。
私も、見習わねばと思うばかりです。
私の勘は昔からなぜかけっこう当たるので、よければこの記事を参考にしていただき、ぜひ、皆様も質問上手になってください。
ちなみに、この記事は私に対する質問の仕方を強制するものではありません。
よければ質問を練習する場の一つとして、今後ともお気軽にご質問していただければと思います。
追記
この記事では、便宜上、合格された方を主語にしましたが、今回思うような結果ではなかった方や、まだ教員採用試験を受験されていない学生の方の中にも、このような特徴を持ち合わせている方もたくさんいます。
教員採用試験は、合格か不合格かの二つしかありません。
養護教諭にとって、倍率が高い教員採用試験は、落ちて当たり前、受かればすごいという世界です。
どれだけ養護教諭にふさわしい人でも、面接官との相性など、教員採用試験合格には運の要素も少なからずあると思います。
教員採用試験に不合格だったからといって、人間性を否定されているわけでは決してありませんので、どうか気を落とさないようにしてください。
どのような結果であっても、ご自身の貴重な経験になっているはずです。
ほけんしつ.netは、皆様の「教員採用試験に合格したい!」と思う気持ちを、全力で応援しています。