養護教諭に向いている人の特徴と、養護教諭に必要な力

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養護教諭を目指す方へ
この記事は約12分で読めます。

養護教諭に向いている人の特徴と、養護教諭に求められる力について説明します。

養護教諭に求められる力は、包容力、共感力、継続力、観察力、傾聴力、協調性、柔軟性、判断力、計画力、行動力、発信力、リーダーシップ力などがあげられます。

子どもに寄り添い、受け止められる人

お絵描きをする男の子

養護教諭の仕事では、子どものありのままの姿を受け止める「包容力」や、子どもの気持ちに寄り添う「傾聴力」や「共感力」が求められます。

包容力

困ったり悩んだりしたとき、「誰にも言えないけど、保健室の先生になら言える」という思いを持ちながら、養護教諭を頼りにして保健室に来室する子どもは少なくありません。

子どもが保健室に来る理由は様々です。

けがや病気をして、手当てをしてもらったり休んだりするために保健室に来る子どももいれば、それ以外の理由で保健室に来る子どももいます。

恋愛や、友達や家族の人間関係、進路のことで相談に来る子どももいます。

給食後に食べたものを吐いてしまったり、トイレに間に合わず、おもらしをしてしまったりして、誰にも言えずに保健室に来る子どももいます。

池に落ちて、服がずぶ濡れの状態で、保健室の前で呆然と立ち尽くす子どももいます。

先生に叱られたことが原因で、大声で泣きながら保健室に飛び込んでくる子どももいます。

遅刻して学校に登校したのはいいものも、教室に入れなくて、保健室の前をおろおろと行ったり来たりする子どももいます。

なんとなく教室に帰りたくなくて、授業が始まるチャイムが鳴ったあとに保健室に来る子どももいます。

特に理由はなく、「遊びに来たよ~」と言ってふらりと保健室に来る子どももいます。

誰からも受け入れられなければ、繊細な子どもたちは宙ぶらりんなままです。

子どもはいろいろな思いがあって保健室に来室するため、どんなときでも温かく対応することが大切です。

傾聴力

子どもは、大人に比べてまだまだうまく話せません。

子どもの話をよくよく聞いていくと、ぽろぽろと言葉が出てくることがあります。

たとえば、現職の養護教諭として働いていた頃、小学校低学年の子どもが、「友達に押されてロッカーにぶつかり、腕を打撲した」という理由で、保健室にやってきたことがありました。

そのときの実際の会話は、こんな感じでした(わかりやすくするため、一部省略しています)。

Aさん(児童)
Aさん(児童)

先生、腕が痛い

養護教諭
養護教諭

あらあら、痛かったね。大丈夫だよ。いつ、どこで痛くなったの?

Aさん(児童)
Aさん(児童)

20分休み、廊下で

養護教諭
養護教諭

20分休みに廊下でけがをしたんだね。どうしてけがをしたの?

Aさん(児童)
Aさん(児童)

Bさん(友達)に押されて、ロッカーにぶつかった

養護教諭
養護教諭

どうして、BさんはAさんを押したの?

Aさん(児童)
Aさん(児童)

…僕が、Bさんを押したから

養護教諭
養護教諭

そっか。どうしてAさんはBさんを押したの?

Aさん(児童)
Aさん(児童)

遊びでBさんを押した。そしたら、Bさんが怒って僕を押し返した

養護教諭
養護教諭

最初は遊びだったけど、喧嘩になってしまったんだね。Bさんのことは、どう思ってるの?

Aさん(児童)
Aさん(児童)

押されてむかついたけど、いまは『ごめん』って思ってる…

養護教諭
養護教諭

むかついたよね。そのあと、気持ちが少し変わったんだね。でも、どうして『ごめん』って思うの?

Aさん(児童)
Aさん(児童)

遊びだったけど、最初に押したのは僕だから

応急手当をしながら、Aさんとの会話を通じて、Aさんが遊びでBさんを押したところ、Bさんが怒ってAさんを押し返し、喧嘩のような状態になったことがわかりました。

また、そのことについて、Aさんはとても反省していることがわかりました。

言葉に表れていない部分のほうが重要である場合も多いため、耳を傾け、上手にフォローを入れながら、子どもが本当に言いたいことを引き出すことが大切です。

AさんとBさんのその後

Aさんのけがは軽症で、Bさんにはけがはありませんでした。

救急処置のあと、担任の先生を交えて、Aさん、Bさん、養護教諭の4人で話し合いを行ったところ、二人はとても反省した様子で、最後に仲直りをしました。

幸い、小さなけがで済みましたが、大きなけがに繋がっていたかもしれないので、今後は同じようなことが起こらないように指導しました。

もともと仲のいい二人だったこともあり、放課後、保健室に二人で笑って保冷剤を返しに来てくれたことが印象的でした。

二人の笑顔が見られてよかったなあと思いました。

共感力

保健室に来る理由が、大人にとっては「些細なこと」と思うような内容でも、子どもにとっては一大事です。

たとえば、現職の養護教諭として働いていた頃、小学校低学年の子どもが、「消しゴムを友達に使われた」という理由で、泣きながら保健室にやってきたことがありました。

事情を聞いてみると、友達に使われたという消しゴムは、大好きなお母さんに買ってもらった新品の消しゴムで、使うのがもったいなくて筆箱の中にとっておいた、とても大事なものだったのです。

子どもにとっては、消しゴムはただの消しゴムではなく、宝物の消しゴムだったのです。

一見すると小さな悩みに感じられましたが、「大したことではない」と決めつけずに対応して、本当によかったと思います。

子どもはいつでも真剣です。

そのため、子どもの視点に立って対応することが大切です。

このように、子どもに優しく寄り添い、愛情を持って受け止め、成長につなげられる人が、養護教諭に向いていると言えます。

子どもの成長を根気強く見守ることができる人

本を読む女の子

継続力

養護教諭の仕事では、物事に根気よく取り組む「継続力」が求められます。

子どもは、教えたことがすぐにできるわけではありません。

「ローマは一日にして成らず」ということわざがあるように、教育は基本的には即効性のあるものではありません。

子どもの成長は、すぐに目に見えることもあれば、長い時間がかかることもあります。

たとえば、「かぜを予防するために手洗いをしましょう」という内容の保健教育を行ったとします。

保健教育を行った直後に子どもが手洗いをするようになるかといわれると、そううまくはいきません。

「教育は最大の予防薬」という言葉がありますが、養護教諭がどれだけ熱心に保健教育を行っても、その定着には時間がかかります。

子どもは教えたことがすぐにできるわけではないため、根気強く教え続けることが大切です。

また、子どもは、言葉でうまく伝えられない場面もたくさんあります。

子どもの主体性を育てるためにも、時には上手に促しながら、子どもが話す言葉をじっくりと待つことも大切です。

このように、子どもの成長を長い目で見守ることができる人が、養護教諭に向いていると言えます。

子どもの小さな変化に気づくことができる人

クレヨンと男の子

観察力

養護教諭の仕事では、物事を注意深く見て、小さな変化に気づく「観察力」が求められます。

子どもの心の変化は、様々なところであらわれます。

何度も保健室に来室する、遅刻や欠席が多くなる、表情が暗い、声が小さい、仲のいい友達が変わった、身だしなみが乱れているなど、いつもと比べて子どもに何らかの変化があったときは、SOSのサインかもしれません。

日頃から子どもたちをよく観察して、小さな変化を見逃さず、「おや?なんだかいつもと様子がちがうな」と気づく鋭い視点をもつことが大切です。

小さな変化に気づいたことをきっかけに、さらに注意深く観察してみると、その背景に、いじめや虐待といった重大な健康課題が潜在している場合があります。

子どもの小さな変化にいち早く気づくことができれば、健康課題の早期発見、早期対応に繋がります。

このように、子どもの心の不調のヒントは表面に現れることがあるため、小さな変化に気づくことができる人が、養護教諭に向いているといえます。

あらゆる状況に対応できる人

空と電球

養護教諭の仕事では、状況に応じて、臨機応変に行動を変える「柔軟性」や、最善の決断をする「判断力」、事前に準備する「計画力」が求められます。

学校では、毎日様々な出来事が起こります。

別記事で詳しく説明しましたが、養護教諭の仕事の特性は次の通りです。

  • 一人職の場合が多く、仕事のほとんどを一人でしなければならない
  • 仕事内容はあいまいであり、そのとき求められていることをするの仕事
  • 子どもは、いつ保健室に来るかわからない
  • 少数職種であるため、他の人との連携が多い

これらの特性を踏まえ、「柔軟性」、「判断力」、「計画力」について説明します。

柔軟性

養護教諭の仕事は、担任の先生のような、授業/休み時間といった明確な境界線はありません。

子どものけがや病気は、休み時間だけではなく、授業中や登下校時、放課後にも起こります。

子どもが保健室にいつ来るかは予想ができないものですが、子どもの対応が最優先であるため、子どもが来室したときは、作業の手を止めて対応する必要があります。

保健室に来室する人数も、日によって違います。

また、たくさんの人と関わる養護教諭にとって、仕事に完璧を求めてしまうと、物事がうまくいきません。

たとえば、子どもたちの保健関係の書類を回収し、出席番号順に並べて、○日までに保健室まで提出するよう担任の先生にお願いしたとします。

忙しい担任の先生は、期限内に提出するのが難しいときがあるかもしれません。

期限内に提出してもらっても、出席番号順に並べるだけの余裕はないかもしれませんし、子どもたち全員分の書類が集まらないこともあるかもしれません。

養護教諭はたくさんの人と関わり、はっきりとした仕事の境界線がないため、状況によって臨機応変に行動を変えることが大切です。

さらには、養護教諭は少数職種であり、偏った考え方ややり方になってしまうこともありますが、自分と異なる考え方ややり方に出会ったときに、視野を広く持つことも大切です。

判断力

養護教諭として働いていると、判断に迫られる場面が多くあります。

たとえば、今すぐ救急車を呼ばなければならないような大けがをした子どもと、絆創膏を貼ることで対応できるけがをした子どもが同時に保健室に来たとき、養護教諭は優先順位を決めて救急処置を行わなければなりません(これを専門的な言葉でトリアージと言います)。

また、けがに対して素早く適切に対応しなければなりませんが、どのような対応をするかも、養護教諭に委ねられています。

救急処置はわかりやすい例ですが、他にも、養護教諭が判断して対応しなければならない場面はたくさんあります。

たとえば、算数の時間になると、必ず保健室に来室する子どもに対して考えられる対応の例は、次の通りです。

  • 指導して教室に復帰させる。
  • 養護教諭が教室までついていく。
  • とりあえず話を聞く。
  • カウンセリングを行う。
  • 担任の先生に迎えに来てもらう。
  • 管理職に内線で居場所を報告をする。

子どもの性格やクラスの雰囲気、保護者の意向、学校の方針、地域の実態といった様々な要素が絡み合うため、子どもにとってベストな対応をしなければなりません。

養護教諭は判断に迫られる場面が多いため、状況によって最善の決断をすることが大切です。

計画力

健康診断や学校保健委員会などは、通常毎年行われる保健行事ですが、保健行事が大規模であるほど、準備に時間がかかります。

たとえば、健康診断の大まかな流れは、次の通りです。

  1. 保健調査票のまとめ作成
  2. 立案
  3. 実施要項作成
  4. 学校医との日程調整
  5. 各クラスの時間調整
  6. 職員会議での周知
  7. 当日の器具の用意
  8. 実施
  9. 結果のまとめ作成
  10. 担任の先生や管理職への報告

※他にも、細かな作業があります。

このように、健康診断を行うにあたって様々な作業がありますが、基本的には、これらはすべて養護教諭が一人で行う学校が多いです。

そのため、綿密な計画を立てなければなりません。

しかし、綿密に計画を立てていても、急な仕事が入る可能性もあります。

たとえば、子どもの病院受診に付き添いで半日以上学校に戻れないときには、大幅に予定が狂うこともあります。

急な仕事に備えるために、早め早めに計画を立てなければなりません。

大規模な保健行事をスムーズに行うために、逆算し、余裕をもって準備することが大切です。

このように、どんな状況でも対応できる人が、養護教諭に向いていると言えます。

他の人と積極的に関わり、周りを巻き込んで行動できる人

左を向く猫

養護教諭の仕事では、他の人との違いを受け入れて行動する「協調性」や、他の人に自分の意見を伝える「発信力」、目標に向かって他の人を引っ張る「リーダーシップ力」が求められます。

協調性

同じ先生でも、養護教諭と担任の先生の違いは多くあります。

その違いが生まれる理由は、養護教諭は一人対一人で関わる機会が多いのに対し、担任の先生は、子どもと一人対大人数で関わるからです。

そのため、担任の先生に対して、考え方ややり方の違いを感じることは、時々あるかもしれません。

たとえば、「なんとなくしんどい、体がだるい」と訴えて保健室に来た子どもがいたとします。

養護教諭がカウンセリングを行おうとしていても、担任の先生からは「明らかな身体症状がなければ、教室に帰してほしい」という連絡を受けるかもしれません。

しかし、ここで子どもをめぐって養護教諭と担任の先生が対立してしまっては、本末転倒です。

養護教諭が正しいとか、担任の先生が正しいとか、そういった話ではありません。

養護教諭には養護教諭の考え方ややり方があるように、担任の先生には担任の先生の考え方ややり方があります。

そして、考え方ややり方は、担任の先生でも、人によってに違います。

また、管理職は担任の先生を経験している方がほとんどなので、管理職に対しても同様です。

考え方ややり方が多少違っても、「子どもたちのために」という思いを持っているのは同じです。

様々な考え方ややり方があるからこそ、教育はよりよいものになっていきます。

養護教諭の視点を軸にしつつ、担任の先生の考え方ややり方を尊重し、その違いを受け入れ、自分の主張を押し通さないことが大切です。

発信力

担任の先生の考え方ややり方を尊重することが大切であるとはいえ、時には養護教諭の専門的な立場から、伝えたいこと、伝えなければならないこともあります。

たとえば、「なんとなくしんどい、体がだるい」という症状の原因が、女子の生理痛であったとします。

担任の先生のが男性である場合、生理痛についてあまりよく知らない先生もいます。

こんなとき、養護教諭は健康の専門家として、担任の先生に「休養または早退したほうがよい」、「体育は見学をした方がよい」、「体を温めたほうがよい」といったように、自分の意見をうまく伝えることも必要です。

このように、教育をよりよいものにするため、自分の思いをわかりやすく伝えることが大切です。

リーダーシップ力

意外に思われるかもしれませんが、養護教諭が主体となって行動しなければならない場合があります。

たとえば、保健行事の一つである、就学時健康診断です。

大規模な保健行事である就学時健康診断では、養護教諭は司令塔となります。

(就学時健康診断とは、小学校に入学予定の子どもを対象とした健康診断で、自治体によっては学校で行われます。)

就学時健康診断は、養護教諭が主体となって行われる場合も多く、学校全体を動かさなければなりません。

サポート役に回ることの多い養護教諭ですが、他の人をまとめ、役割分担をしたり、全体の指示を行ったりします。

このように、養護教諭が主体となって保健行事を成功させるために、他の人を引っ張り、チームをまとめることが大切です。

まとめ

敷き詰められた本
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